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マーガレットと素敵な何かのtakのレビュー・感想・評価

マーガレットと素敵な何か(2009年製作の映画)
3.3
ソフィーの笑顔に会いたくなって、未見だった「マーガレットと素敵な何か」をセレクト。ん?監督はヤン・サミュエル。げっ!あの共感ポイントが見つけられなかった長ーいタイトルのおフランス映画の監督やん!大丈夫か?またどよーんとした気分になっちまうんじゃないよな。と思いつつ、再生ボタンを押した。ガーリーでポップなコラージュ満載のタイトルバックが流れ始める。

工業プラントを販売するビッグビジネスに携わっている主人公マーガレット。忙しい日々を送る彼女の元に元公証人の男がやって来る。7歳のマーガレットが40歳の自分に宛てて手紙を送るように依頼したというのだ。大事な商談の時期だが、彼女は過去の自分から届いた手紙に夢中になっていく。彼女は両親の離婚から始まる幸せとは言い難い生い立ちを断ち切るため、本名のマルグリットではなくよりデキる女をイメージできるとしてマーガレットと名乗っていた。誕生日に家具が差し押さえられ、その後父親が家を出て行く回想シーンの強烈な印象。あの長い邦題の映画同様、映像センスはなかなかだ。

7歳の自分に導かれて、様々な再会を果たす。引っ越し前に仲良しだった穴掘り名人の男の子、長年疎遠だった弟。元公証人から聞いたピカソの言葉「自分自身になれ」というひと言から、マーガレットはじわじわと今の自分にまとわりついた縛りをほどき、自分を取り戻していく。

この監督が不思議ちゃんだからなのか、ヒロインが過去の自分からの手紙で揺れ動く感じがどうも掴みにくい。商談がからむパーティに行く途中なのに突然元公証人の乗る電車をずぶ濡れで追いかけたり、支店長の女性上司に「アンタの上にいってやる」などと言う一方で、仕事そっちのけで昔住んだ村に走ったり。それらはみんな過去の自分からの手紙が原因なのに、彼女の葛藤が伝わらない。仕事のパートナーから素敵なプロポーズ(子供につけたい名前リストを見せて求婚ってナイス👍)を受けたのに、彼との関わりが希薄になる。彼がすんなりマーガレットの決断を受け入れてしまうのも納得いかず。筋には必要ないよ、ってことなのかな。

マーガレットが大事な場面に臨む時に、憧れる偉大な女性たちをイメージして自分を奮い立たせるところが好き。エヴァ・ガードナー、マレーネ・ディートリッヒ、マーガレット・サッチャー、マザー・テレサなどなど、先人への敬意を感じる素敵な場面。ソフィーがそんなヒロインを演じてるのが、ファンには嬉しい。「ラ・ブーム2」で「雨に唄えば」のキャラを真似てた少女が、そのまま大人になったみたいで。
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