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奇跡の丘のNMのレビュー・感想・評価

奇跡の丘(1964年製作の映画)
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新約聖書を超約で読めるような作品。有名な聖句がそのまま台詞になっていて余計なフィクションはなし。
キリストや天使を勝手に金髪とかにしていないし、地味だけど誠実で無駄がない。
言い回しも激しい演技がなく、割と淡々と語られている(ただしマイクなしで群衆に語り掛けねばならないのでいつも大声ではある)。
朗読劇と言っても過言ではないぐらい。聖書の大事な箇所を読み上げているとも言え、新約聖書のあらすじを辿る。
逆にいうともう聖書をちゃんと知っている人は特に新しい発見はないかも。
かといって全く知らないと何のことなのかわからないだろう。例えば美女が踊って王が喜び地下の男が殺されるとか、キリストが神殿の前でいきなり暴れてスズメが逃げ出すとか、多少そのエピソードを知ってないとどういうことかわからないはず。
正直に言うと倍速で鑑賞した。倍にしてもいま何をやってるかわかる撮り方だったので(字幕をしっかり読んで味わうのは無理になるが)。
当時のこの地の食べ物や建物、服装が独特でアーティスティック、目に楽しい。


最初に出てくる働き者で真面目な性格の男ヨセフ。
この度ついにマリアという嫁をもらうことになったぞーって、は?妊娠してんだけどどゆこと?まぢむりぴえん。
そこに天使のお告げ、「神の御業だから心配しないで結婚しておk」。
「そうなん?全く分からんけど神様だからまあヨシ」。

三人の賢者が、救い主(キリスト)が生まれるということを一目会うべく知り探しに来るが、
権力を独占したいユダヤ王ヘロデもその情報を知ってしまう。

またも天使の忠告により、父ヨセフ母マリア赤ちゃんキリストはロバ一頭で追っ手から逃れる。
ヘロデ王により他の赤ちゃんは手あたり次第殺されてしまった。

ヨルダン川で人々に洗礼を授けているヨハネ。キリストが来るからちゃんとせえよとお知らせもしている。
そこへなんと成人したキリスト本人登場。ビビるヨハネ。「えっ俺がキリストに洗礼を授けるんすか?」「頼むわ」「あはい」

荒れ野で一人修行しているキリスト。
悪魔がやってきてあちこちに連れまわし誘惑しまくる。有名エピソードが続く。

次に12人の弟子を集めに出かけるキリスト。選ばれたのはごく普通の人々だが、キリストの目には適うらしい。

何やら重度の病気をかかえた人がキリストを訪ねてくる。
彼の信心を見抜き、奇跡を起こして治してやるキリスト。
困っている人々が殺到。

大人気のキリストを気に入らないファリサイ人(権威のあるとされている人たち)は何かにつけいちゃもんをつけに来る。おしゃれな帽子かぶってる。
しかしキリストに言い負かされてしまい逆恨み、ついに命まで狙うように。

故郷に戻ってみると、みなキリストを白い目で見た。親も他の兄弟も普通なのにあの子はなんだ?変なやつ、と。まあそういうもんでしょと静かに去るキリスト。味方も多いが敵も多い。

洗礼者ヨハネも恨みを買い殺されてしまった。
いよいよ危なくなってきたキリストたち。隠れて移動。

最高級の油を買ってきてキリストの髪に塗ってやる女(尊敬の意味)。これも有名。弟子ユダには無駄遣いだと怒られるが、キリストはええやんかと擁護してやる。
ユダの様子がおかしい。緊迫した最後の晩餐。

いよいよキリストの試練の日。
弟子たちはつまづく(キリストを裏切る)と予言するが、弟子たちはそんなわけがと否定。
ユダが先導しキリストは連行されていってしまう。
弟子たちは散り散りに逃げ出し、弟子ペトロはその行動が自分でも情けなく泣き崩れる。
あれだけキリストを崇めていた民衆たちはいつの間にかみな完全に寝返り、誰も釈放を願わない。

泣き叫びもう倒れそうな母マリア。
ゴルゴダの丘に到着、ついにはりつけにされるキリスト。それにしても残酷な処刑方法だ。

戻ってきた弟子たちは遺体を引き取り洞窟に埋葬するが。
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