Toineの感想文

血とバラのToineの感想文のレビュー・感想・評価

血とバラ(1961年製作の映画)
4.0
【澁澤龍彦先生のお気に入りと聞いて♡】
大林宣彦監督のお気に入りでもあるのですね。
(Wikiで読んだ)
アイルランドの作家シェリダン・レ・ファニュの小説「カーミラ(1872)」が原作の作品。
評価の高い作品なのに日本版が未ディスク化といういつもの展開につきドイツ版DVDで鑑賞いたしました。

原題はフランス語で"Et mourir de plaisir(そして喜びで死ぬ)"。
まず映画タイトルが美しい。邦題(英語圏版の直訳)も好み。
わたくしの中二心がくすぐられます。

美女、百合、ゴシック、お耽美、ヴァンパイア…
た、たまらん!こんなの無敵のコンボじゃん!!
文字だけ見てもテンション神上げでございます。
ずっと観たかったので鑑賞できて心の底から嬉しかったです。

この時代の女性の髪型やメイクは本当に素晴らしい。
爆イケのビジュで目が幸せ。
上記の要素があるだけで無条件に高評価です。
あと劇伴が良すぎました。
中盤ハープの音色に鳥のさえずりを重ねる演出が美し過ぎて耳まで幸せ。最高です。

時おり現実と虚構(夢なのかな?)を曖昧にした白昼夢の様なカットがあり幻想小説を読んでいる気持ちになりました。
特に後半の白黒に赤色を映えさせるシーンは映画史に残る神演出だと思います。
終始良い夢感。

そしてヴァンパイアものと言えば美しさと哀愁。
ちゃんと作品に活かされておりました。
そのままの彼女では叶わなかった恋。人間とは違う定めで生きてゆく哀しき女吸血鬼。
その存在自体が唯美そのもの。
本当に本当に素晴らしい…

他の方のレビューにもあります通りヴァンパイア映画にしては血糊が少なくその点だけ残念に思いますが、ヴァディム監督の女好きを芸術に昇華できる素晴らしい才能に改めてリスペクトでございます。