王冠と霜月いつか

暴力脱獄の王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

暴力脱獄(1967年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『What we’ve got here is a failuer to communicate.』
「ここにあるのは、意思の疎通の欠落だ=ここにいるのは言葉が通じない奴だ」

この映画を伊集院光さんのラジオ番組でおすすめされていた、ピーター・バラカンさんによれば、これはアメリカ人なら誰でも知ってる位有名な台詞なんだそうです。
刑務所の所長が数回、最後にポール・ニューマンが言います。

ちなみにポール・ニューマン演じるルークは、パーキングメーターのメーター部を工具を使って切りまくって逮捕されます。これは詰まるところ、つまらない権力に対する反抗する意味の犯行で、刑務所に入ってからもずっと反抗し続けます。ですが、このルークが良いのは、なんとも言えない「微笑み」を絶やさない所です。追い詰められても、別に余裕綽々ですけれど何か?みたいな、それでいて嫌味も冷たさも含まない素敵な微笑みです。

舞台は刑務所ですが、規則で雁字搦めで違反をすれば懲罰房行き、これは社会と一緒です。我々は決められたルールに縛られて日々生活している訳ですね。ルールに流されて生きた方が楽だったりするモノですが(笑)、ルークはとことん反抗します。ルークは倒されても倒されても、微笑みを絶やさないで立ち上がるのです。その微笑みと立ち振る舞いが囚人仲間から認められ偶像のような存在になっていきます。

「ショーシャンクの空に」もこの映画に影響を受けているそうですが、アンディと違ってルークは何度も脱獄します。何度も脱獄するということはその度に捕まって連れ戻され懲罰房に入れられます。看守にもかなりキツい拷問のような嫌がらせを受けて、とうとうギブアップして反抗を辞めて、看守のご機嫌取りみたいな行動を始め、仲間からは裏切り行為だと評価はダダ下がり、私もがっかりしてしまいましたが…勿論そのままでは終わりません。

そこからは、映画を観ていただきたいのですが、ショーシャンクと違うのは、ルークはジワタネホには行けないんです。
逆に、ここがこの映画のなんとも言えない良いところだと思います。

ちなみに、Cool hand LUKEが原題で、これは刑務所でポーカーの時に付けられた愛称です。それがなんで「暴力脱獄」?なんでしょう。どうやらかつてヒットした「暴力教室」という映画の柳の下の2匹目のドジョウを狙っての事らしいです。

MARVEL作品のようなエンタテインメント作品ではありませんが、じわじわ効いてくる名作だと思います。

あ、そうそう、デニス・ホッパー似の若い俳優が囚人仲間の一人に居ましたが、デニス本人でした(笑)

大人になったら観て欲しい1本です。