イチロヲ

遊星よりの物体Xのイチロヲのレビュー・感想・評価

遊星よりの物体X(1951年製作の映画)
3.5
空飛ぶ円盤の墜落現場を発見した南極観測隊が、冷凍保存されていた生命体の吸血行為に脅かされていく。ジョン・W・キャンベル著「影が行く」を映像化している、古典的SFホラー。ハワード・ホークスが製作に携わっている。

任務を先導する将校は「人類の脅威となる物体を直ちに討ち取るべき」と判断するのだが、観測基地の科学者は「貴重な実験体を生きたまま培養すべき」と判断する。その両者の小競り合いに、人間社会のカオスが投影されている。

肝心の物体Xは「フランケンシュタインの怪物」のような風貌で登場。動きが超絶スローモーなので、臨機応変に対処できそうに見えるが、極寒の基地という封鎖空間が緊張感をもたらしてくる。

1938年に発表されたSF小説を、1947年のロズウェル事件を経てから、1951年に初映像化しているところも興味深い。真偽を確認したわけではないが、当時の空飛ぶ円盤ブームとの関係性を考慮しつつ、その時代背景を思い浮かべながら鑑賞すると趣が増す。
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