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暴力行為のBOBのレビュー・感想・評価

暴力行為(1949年製作の映画)
3.8
フレッド・ジンネマン監督のフィルム・ノワール。

戦後カリフォルニア。"戦争の英雄"として模範的な結婚生活を送る元アメリカ軍司令官が、復讐心に満ちた元部下に命を狙われる。

"A lot of things happened in the war."

殺るか殺られるか。正解のない戦争倫理に関するテーマを扱った知的なフィルム・ノワール。ホロコーストによって両親を亡くした過去を持ち、"ハリウッドの良心"と称されたフレッド・ジンネマン監督らしい秀作だと思う。『真昼の決闘』や『地上より永遠に』同様、"アメリカの闇"を暴くような反骨心が伺える。

過去に犯した"過ち"への罪悪感に苛まれる男と、唯一の生き証人として"裏切り"行為を断罪することに執念を燃やす男。『シェーン』や『決断の3時10分』のヴァン・ヘフリンと、『ワイルドバンチ』のロバート・ライアンの対決は見応えがあった。緊張感のあるクライマックスと、虚無感漂うラストシーンには、何とも言えない凄みがあった。

二人の奥さん-恋人の立ち振舞いも興味深かった。共に戦争の真実は知らないが、愛する人の幸せを願って、過去を清算するよう必死の説得に出る。『若草物語』より若いジャネット・リーが出演している。

善人のフリをして、実は金儲けしか頭にない第三者たちの介入も印象的だった。人間(アメリカ人)の二面性が大きなテーマだったのだと確信した。

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