クリストファー・ノーランの長編デビュー作。16mmフィルムで撮影されたオリジナルをノーラン自身の監修のもと4Kスキャンされた。
当時UCL在学中に6,000ドルという低予算で制作された今作がトロントなどの映画祭で高い評価を得て、その後「メメント」など数多くの名作を生み出す。
パンフに監督のインタビューとして、この映画を制作するに至った経緯や、低予算でいかにクオリティの高い作品を作り上げたかといった非常に興味深い話が掲載されている。そこに書かれたさまざまな工夫は、その後の超大作の撮影に生かされたものもあり、彼の映画人生が全て繋がっていることがよくわかる。
ストーリーは、小説のヒントを得ようと他人を尾行する男の告白から始まり、その奇妙な行動に観客はどんどん引き込まれていく。その後、男は事件に巻き込まれていき、予想を超えたラストに観客は驚愕する。
モノクロフィルムの映像がおしゃれで、信用できない登場人物たちが殺伐とした都会で繰り広げるクライムストーリー。まさにノーラン流フィルム・ノワール。
70分と非常に短時間にまとめられているが、見応えのある作品でした。
