1984年に廃村、2001年にダムの底に沈んだ越後奥三面村 (おくみおもて) の、ありし日の姿を記録したドキュメンタリー映画。
「民族文化映像研究所」ひきいる 姫田忠義 が4年をかけて製作した作品をクラファンでデジタル化。
男性の声によるナレーションが終始入ることもあり、冒頭は NHK ドキュメンタリー番組の既視感が強くちょっと拍子抜け。季節に応じた細々とした珍しい風習や行事は興味深いものの、時々うとうと。
ところが、中盤を過ぎたあたりから映像に魅力が増し始め、後半にかけての破壊力はなかなかのもの。 これは、撮影スタッフが村に馴染み始めたことが大きいのか、それとも何らかの演出なのか。
米や蕎麦はまだしも、粟や稗の脱穀や栃の実のアク抜きは気の遠くなるような作業。生きるための作業が一年中続く村の暮らしの貴重な記録。終盤に映される、古来から村に伝わる技術と知恵には目を見張るものがある。
このドキュメンタリーには続編があり、そちらは廃村の瞬間と村民のその後を描いたものとのこと。やはりデジタル化の計画があるらしい。
充実のパンフ ¥1000 は、奥三面村に関する学術資料の装いで読み応え十分。