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ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへのgrpcdのレビュー・感想・評価

3.7
ポレポレ東中野にて小森監督と看護師/写真家の尾山直子氏のアフタートーク付きで鑑賞。
原発事故により避難を余儀なくされた人々が暮らす団地でひっそりと行われる一風変わった支援活動を追ったドキュメンタリー。被災者たちにインタビューしてラジオ番組を作り、CD-Rに焼いて配布するのってもしかしたら究極のDIYかもしれない。生々しい震災のエピソードこそ登場しないが、画面の背後には安住の地を奪われた人々のやるせなさが横たわっている。
登場する老人たちは皆個性的でキャラが立っているが、とりわけ元漁師のお爺さんが凄かった。漁船でブラジルに渡り、言葉もわからぬまま現地の女のアパートに転がり込んだという武勇伝も。そんな彼もとうとうこの団地を去り施設に入居するという…。
集会所で催される歌声喫茶イベントでは支援者たちの生演奏とともに人々の記憶に紐づけられたいくつもの歌が歌われていく。誰もが歌える"大衆歌謡"の精髄。ところでおれが老人になる頃には「うっせえわ」とか「千本桜」を集団で歌うことになるのだろうか…。
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