ひこくろ

「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へのひこくろのレビュー・感想・評価

4.2
(原作未読、アニメは見てました派の感想です。内容には触れません)

鬼滅の刃の本来の姿ってこうだったのか、と度肝を抜かれた。

テレビアニメが映画並みの品質なのは知っていたけれど、すでに放送済みのシリーズの最終回と、これから放送予定のシリーズの第一回をくっつけて劇場で流すというやり方が、どうにも映画を馬鹿にしているように思えて、これまでは完全に無視していた。

で、今回、やっと観てみて驚いた。
テレビアニメを見ていた時と受ける印象がまったく違うのだ。
テレビで見ていた時は、面白いしすごい品質だなあとは思っていたが、それぐらいだった。
もっと言えば「刀鍛冶の里編」の最終回に関しては、なんかダラダラしているなあ、とまで思っていた。

が、映画館のスクリーンで、大音量でこれを観ると、ものすごい衝撃を受けるのだ。
踏み込んだ時、あるいは、刀を振るった時の、空気が震えるほどの重低音の重み。
激しい戦闘シーンを大スクリーンで観る迫力。
派手なシーンばかりではない。
耳飾りが揺れるといった、聞こえるかどうかの微かな音。
さらに静寂の深み。

テレビでは気づかなかったが、こんなにも衝撃を受けるアニメだったのだ、とただただ驚いた。
もちろん、アニメの質は映画館の大スクリーンで観ても遜色ない。
というか、完全に映画か、それ以上だ。
これまで「映画品質」とわかっていたつもりでいたが、あらためて、アニメの質の高さに唸らされた。

完全にファン向けだが、それでも、冒頭にはこれまでの振り返りもあるし、OPやEDも一本の映画として観られるように工夫されてはいる。
なにより、この迫力、衝撃は、映画館でしか味わえない。

今後、すべての話を全部映画館でやって欲しい、とまで思ってしまうほどの出来だった。
こんなにも映画館映えするアニメだとは、正直、思っていなかった。
いや、凄かった。

やり方に関してはいまだって納得いっていないが、これだけのものを見せられたら頷くしかない。
テレビと比較できたことで、このアニメが本来持っているポテンシャルを再確認したような気がする。
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