やべべっち

パレードのやべべっちのネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2024年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

死後の世界で生の世界でやり残した事がある、所謂成仏してない人の溜まり場を描いている。最近ふと思うが「過去は変えられない、変えられるのは未来だけだ」という物言いに疑問を持つ。何故なら未来は色々なファクターが組み合わさって出来上がる未知だからだ。未来を変えられるという人の物言いはコントロール感がある。だがそれは少し傲慢な物言いのように思える。大震災もコロナも癌罹患も私は全く予測出来なかった。恐らくどんなに気をつけていても解る事はあり得なかっただろう。人間が変えられるのは「過去」との向き合い方だけだと思う。

「死ぬ時に後悔しないように」という物言いも同じく可笑しいと思う。後悔しないように対策を立てたところで別な後悔するからだ。人間は後悔する生き物、それで良いじゃんとこの映画を見てて思った。

死後の世界というのは癌になってから割と自分の中のテーマである。それは死後の世界に情景がある訳ではなく今世を生き切る為に死後の世界を考えておくのは大切なのではないかと思ったからである。

遠山目付という言葉を最近知った。競泳のイメトレでゴールタッチまでをイメージするのではなく、ゴールタッチして振り返って時計を見るまでをイメージするそうだ。何故ならゴールをイメージすると必ずその前で失速する。遠くへイメージする事が大切だ。

恐らく人生にも同じ事が言えて死後の世界をイメージする事で現生を勢いよく生き切る事が出来るとホリスティック医学の考えがあってなるほどと思ったものだ。

映画でも現世ではない所に焦点を合わせた作品はディズニーやジブリでも見られる。けどアニメーションでない普通の映画ではそれを描くのは難しい。

その難しさに挑戦したのが本作品だが幾つか緩い所は見られるがこれはこれで良い作品であると感じた。特にマイケル演じるリリーフランキーとシングルマザーの長澤まさみが良い。長澤まさみってまだ結婚してなかったと思うけど母親役が本当に似合うよね。自分の知り合いでショートカットで長澤まさみに似ているマザーを何人か知っている。元々はアイドルフェイスだったのが年齢を重ねて上手くこういった儚さをも備えた女優に脱皮したよね。