りょうすけ

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版のりょうすけのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版」

大傑作。3年前に一度鑑賞しているが、タル・ベーラの世界を劇場で堪能したいと思い再鑑賞。「サタンタンゴ」を観た翌日に観ると2時間半も短く感じるから恐ろしい。
タル・ベーラの御家芸であるモノクロ長回しロングショットを多用した映像が映画館で拝めるだけで最高なのに内容まで面白いと来たらもう最高としか言いようがない。
脅威の37カットの映像はワンカットワンカットを大事にしていて、どのカットをとっても無駄ではないと感じさせる。「サタンタンゴ」もカット数が少ないことで有名だが、このカット本当に必要だったかという印象はおろか、1時間近くある章をまるまる必要だったか疑問に思うこともあったが、本作ではそんな印象を受けることは一切なかった。むしろカット数が少ないと聞いているのでこちら側も一つ一つのカットをより集中して観れた気がする。
トレーラーの中に収納されたクジラや暴徒たちが行進するシーン、おそらく一番の長回しである病院の襲撃シーンや登場人物たちの顔のドアップに至るまでこれほどに洗練された映像を拝めることもなかなかないだろうと思う。タル・ベーラの作り出すモノクロの世界と本作の反社会的、暴力的な内容が相まって、他の映画には作り出すことのできない恐ろしさやバイオレンスが生まれていた。
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