まぬままおま

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争のまぬままおまのレビュー・感想・評価

4.0
遺言が『奇妙な戦争』の予告とはどういうことなんですか。本編無き/亡き予告。奇妙すぎる。
でもゴダールはきっと遺言として本作をつくってはいないし、残された者が勝手に徴付けただけだ。しかしリテラルに本作をみてきくこと、それもまた残された者にできることである。

といってもさっぱり分からない。序盤は音声イメージなしに静止画が提示されるのだが、運動が停止しており、劇場の映写機の故障を疑ってしまった。それだけで意味が分からないし、その後の引用とコラージュもさっぱり。イメージとして凄さは伝わるのだが、何が意味されているのかを理解するには時間が必要だ。

分かったことと言えば、シャルル・プリニエの『偽旅券』を翻案したかったことと『アワーミュージック』をみなくてはいけないことだけだ。ゴダールの翻案は実現不可能だが、みることは私たちにもできる。予告は既につくられてしまった。だから戦争がなお続く本編としての現実を生き延びるためにとにかくみなければならない。その駆り立てが運動であり、映画のはじまりだ。