しゅうへい

このハンバーガー、ピクルス忘れてる。のしゅうへいのレビュー・感想・評価

2.5
『このハンバーガー、ピクルス忘れてる。』(2023)
予告:https://youtu.be/-qsUXthidsM?si=AQjwT9lH1JVNz62v

「ままならないけど愛おしい。」

■先輩は意中の相手であるアキと観覧車に乗り、ゴンドラの中で彼女に告白するが振られてしまう。後日、先輩はバイト先のハンバーガー屋でなっちゃんから告白される。それら出来事の少し前、先輩はバーの店員・澤を相手に、アキへの告白の予行練習をしようとしていたのだったのだが…。

■木村聡志監督が TOKYO MX のドラマシリーズ「treatment」の一本として制作したコメディーを映画化したドラマ。意中の女性に告白した青年をめぐる騒動が、木村監督作『階段の先には踊り場がある』、現在公開中『違う惑星の変な恋人』と同じ世界線で描かれる。

屁理屈と与太話、若者の不毛で低俗な会話劇。時系列も関係性もこんがらがった恋愛群像。終始緩くて、時折クスッと笑えて、くだらなさにホッコリする会話劇。敬遠しがちなジャンルではあったものの、鑑賞直後の満足度は割と高かった。ただ今作を思い返せば思い返すほどにスコアが低下していく。唐突に始まる『パルプ・フィクション』のパロディ好き。

冒頭長尺の下ネタの掴みには唖然としたが、愛すべき純粋KYな先輩(平井亜門)のキャラや声質、語り口調で許せた。逃げ場のない重い空気を切り裂く正論マシーン、アキ(石川瑠華)の主張に全同意するも、次第に先輩ワールドに引き込まれていく。個人的に序盤2部までが最高潮だった。『Peeping Life』(2008)でいかにもありそうなシチュエーション。

平井亜門と石川瑠華といえば、鑑賞し終えたばかりの今作よりも遥か鮮明に記憶に残っている衝撃作『うみべの女の子』(2021年)を思い出す。作品のジャンルやクオリティは違えど、「サブスクだったらまだ…」と思ってしまう両作。鑑賞した場所は奇しくも一番好きな映画館・新宿武蔵野館。

いたたまれなくて、もどかしい。でも、ついもう一口!手を伸ばしそうにもなる良作でもあった…気がしないでもない。“このハンバーガー、ピクルス忘れてる”。ちなみにパンフの内容も劇中の某台詞と連動するかのような質や内容でにんまり。
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