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その鼓動に耳をあてよののんchanのレビュー・感想・評価

その鼓動に耳をあてよ(2023年製作の映画)
4.5
名古屋市内にあるミニシアターが、残念なことに昨年2館閉鎖された。
しかし、そのうちの1館が3/16〜この作品をこけら落としとしてリニューアルオープンしたニュースを知り嬉しく、どうしても行かねばの強い使命感から昨日は1日1回のみ(夕飯の時間)で出掛けて来ました。
なぜならば、お世話になっている病院のドキュメンタリーだからです(制作は東海テレビ)

『名古屋掖済(エキサイ)会病院』
(ワキに手を添えて、人を導き、助ける)という意味合いの元に、1948年に海で働く人の病院(立地が名古屋駅から6km、名古屋港から3km)として開設され、1978年には東海地区第一号の救命救急センターとして発足された。今では愛知県随一の規模。
とにかく『断らない救急』をモットーにして、365日24時間、年間1万台の救急車を受け入れている。

先に自分のことを書くのは憚られますが簡単に...
名古屋に暮らして5年目になりましたが、2020.6月に救急車で運ばれ入院(耳性目眩)、2021.7月は救急ではないが、脊椎脊髄センターに入院して手術(頚椎症性脊髄症)し、その経過のため今でも2ヶ月に1回痛院しています。その担当医との出会いで私は人生が変わったんです。

とにかく大好きな病院です。
携わる人々が明るく、丁寧で、優しくて、患者はどれだけ助けられているか、関わりがあるからこそ声を大にして、この作られたものでないリアルなドキュメンタリーを一人でも多くの方の目に触れられることを望みます。


内容は救命救急センター(ER)の36歳の蜂矢医師、26歳の櫻木研修医を中心に、自然体で仕事に向き合う中で見えてくる"究極の人相手の仕事""究極の社会貢献"に日々全力を傾けている医療関係者の姿を数年に渡ってカメラに収めているものです。


耳に虫がいる、ドングリが鼻に入った、指輪が取れない、仕事中の指切断、工事現場で足に釘が刺さった、投身自殺、コロナで1年間意識のない人、手を尽くしても亡くなってしまう心肺停止の老人、認知症で症状不明、無保険で金のないホームレス...ひっきりなしで入って来る、どんな社会的問題にも全てに対応していく。

北川センター長(現在、院長)が穏やかな方、大らかで仕事がやり易い環境を作っているように思える。ご本人は外科医と救急医を兼任していた過去がある。現場を知っているからこその包容力を感じた。
実は救命医と専門医の違い等を少し感じたけど、専門へ振り分けるための救命医というところも確かにある。救命現場出身の院長は設立以来初めてのことらしい。

私の担当医も手術当時36歳と言われていたので、驚きの敏腕であるだけでなく、とにかく明るくてハキハキと笑顔で、質問全てに丁寧に答えてくれるんです。首を前から4cm切り、頚椎をチタンで止めて補正しています。現在も左手の神経痛が完治していなく2ヶ月毎の通院が必要です。先生に会いたいので苦痛じゃないです。

余計なことが多く長くなりましたが、救命医は体力勝負。ある程度の若さがないと自分の身体に支障を起こしてしまう。使命感が強いからこそ無理もしてしまっているだろう。休みの日に私服で朝早く患者の顔を見に行くのだから。

エンドロールで蜂矢医師はDMAT(災害派遣医療チーム)の資格を取得。(能登半島地震へ派遣:病院サイトより)
そして、櫻木医師は2年間の研修を終え救命医となりました。2年後は志望制のようですが希望されたのは心強いですね。

全国で観ることが出来るようなので機会があればぜひご覧になって欲しいです。
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