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大人の見る繪本 生れてはみたけれど 4Kデジタル修復版のleylaのレビュー・感想・評価

3.9
1932年の小津監督のサイレント時代の代表作。4Kデジタル修復版のクリアな映像はありがたい。

東京郊外に引っ越してきた一家のホームドラマ。兄弟がいじめっ子と闘いながら地域に馴染んでいく様子や父とのやりとりが可愛らしく描かれる。

“ウチの父ちゃんが一番偉い”と思っていたのに、上司の前ではペコペコご機嫌取りをする父を見て兄弟は落胆する。“僕らにはいつも偉くなれって言ってるくせに、父ちゃんは全然偉くないじゃないか”と拗ねてしまう。ハンガーストライキをしたけど、母ちゃんの作るおむすびですぐに折れてしまう微笑ましさ。

父ちゃんの住む社会は、僕たち子供の社会よりも厳しくて大変なんだってことを知る。この当時、家の中ではお父さんは絶対的な存在で、憧れの的でもある。それだけにお父さんも辛いのだよね。ほろ苦いな〜。

何で上司にペコペコしてるんだよと怒っていた兄弟が、“上司に挨拶した方がいいよ”と大人なことを言う姿にほっこり。
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