これは、主演は岡田将生じゃなくて、子供たち三人だよな、と思った。
前半は計算高く完全犯罪で殺人を犯す東と子供たちの対決。
どこにも隙を見せない東が、容赦なく詰め寄る子供たちの前でボロを出していく様子が痛快。
子供たちそれぞれに事情があることも描かれるので、どこか子供目線で応援してしまう。
中盤になると、これがちょっと変わって、今度は東も巻き込んだ、子供たちの殺人計画の話になっていく。
実行しようとしているのは殺人だし、計画もすべて犯罪なんだけど、どこかひと夏の冒険のような雰囲気もあって、ちょっと新鮮だった。
で、終盤。実際に殺人が決行されて以降は、本当の悪の話になる。
それまで築き上げられてきたもの、明かされてきた事実が、すべて裏切られ、混沌を迎える。
こうなることは薄々予想がついていたものの、それでも気分がいいものではない。
そこにあるのは、もはや子供たちの話でもなく、かなり気が滅入ったし、怖かった。
それにしてもやっぱり主役は子供たちだろう。
無邪気な笑顔を見せたかと思えば、急変して凄味を利かせたり、真剣な表情になったりする浩役の前出燿志は前半輝きまくり。
自分は人殺しだとの思いを抱える夏月はものすごく不安定で、終始安定しない星乃あんなの演技がすごく似合う。
そして、圧巻なのは、朝陽役の羽村仁成。
真面目で大人しそうに見えて、その実、誰よりも深い闇を抱えている姿には、思わず唸らされた。
常軌を逸した感じの岡田将生や、静かな情熱でもって犯人を追い詰めていく江口洋介も魅力的だが、彼らに対して、子供たちの演技が一歩も引けをとっていない。
というか、逆に、演技を喰ってしまわんばかりの瑞々しさとリアリティに満ち溢れている。
これは間違いなく、子供のクライム・サスペンスだ。
