悪魔の毒々クチビル

ダーク・ハーヴェストの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ダーク・ハーヴェスト(2023年製作の映画)
3.7
「責務を果たせ」

1963年のアメリカの田舎を舞台に、毎年ハロウィンになると出没する怪人ソートゥースとの戦いを描いたお話。

2006年に出版されたノーマン・パートリッジによる同タイトルの小説の映画化で、監督は「30デイズ・ナイト」のデヴィッド・スレイド。
主演はミュージカル版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマーティを演じたケイシー・ライツ。
観賞意欲が1ミリも湧いて来ないショボすぎるサムネでしたが、あらすじが面白そうだし「30デイズ・ナイト」も割と好きなので取り敢えず観てみるかと。

そんなノリで観たら結構良かった。傑作とまでは行かずとも「30デイズ・ナイト」より好きでした。
まずハロウィンに出てくる怪人の存在を皆知っているので、街ぐるみで殺りに行くのは良い設定でした。
何故かは分かりませんが、0時までにソートゥースが教会に辿り着くとその後は街全体が長いこと厄災や飢餓に苦しむらしいです。
で、街の男子高校生らがソートゥース狩りに出て、見事ソートゥースを殺した者には豪華な車と家族に豪邸が与えられる命懸けのハロウィンイベントになっています。
まぁ殺したとしても、翌年また蘇るんですけどね。

このソートゥース、殺し方が意外と豪快で胴体真っ二つや顔面切断、上顎掴んで引きちぎり等ちゃんとゴアっていて好印象でした。
後半はダークな雰囲気はそのままに街の秘密を探っていく展開になり、こう言ったゴアシーンが無くなってしまったのは非常に残念でした。

あと最初気になったのは、狩りに強制参加させられる男子たちは3日前から部屋に閉じ込められて3日3晩飲まず食わずの状態にさせられるんですがね、結果的に全員空腹と苛立ちで殺気立ってハントするんだけど普通に考えて逆効果じゃね?
いくら気持ちが昂っていても、3日間水すら飲めない状態でいきなり化物狩りさせられてもコンディション最悪でしょ。
案の定肉屋とか襲撃されてたし、ただでさえ賞品目当てって名目があるのにこんなギリギリまで精神状態を追い込んだらそりゃ同士討ちもするよね。
ただこれは60年代ってことで、所謂「昭和のイカれた根性論」的なノリだと思えば意外と納得は行きます。勝手にそう捉えただけなんだけど。

主人公リッチーの家族の様子だったりとソートゥースを巡る狩りの秘密なんかは大体予想つく人が多いとは思いますが、こう言う呪われた連鎖に囚われた街や住人設定が丁度良い陰鬱さを造り出していて、中盤までのソートゥース襲撃パートもその後の謎に迫っていくパートも普通に楽しめました。
リッチーの恋模様は割とどうでも良かったけど。
結構付き合い長めな感じの友達が即死していてちょっとびっくりでした。
あの仲良しグループで立ち向かうんかと最初は思っていたので。

逆にいじめっこのクソ野郎は大した目に合わなかったり、ラストも寧ろその先を派手に見せて欲しかったなぁというエンディングでもどかしい部分もありましたが、個人的にはちょいちょい「意外と好き」と思える要素があったのでまぁいいや。

原作は英語版ならKindleとかで読めます。が、未だに英語の小説をガッツリ読むってやったことないので中々しんどそうだけどいつか読んでみたいですね。