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雪山の絆のひるるくのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.0
1972年、ウルグアイのラグビー選手団を乗せた航空機がアンデス山脈に墜落し、そこからどうサバイブして行ったのかを”‬アンデスの奇跡‪”‬と呼ばれる衝撃の実話を元に描く。

元ネタ自体は小学校の時に本で読んで知ってたのですが、映画化された『生きてこそ』(1993)でまだ20代そこそこのイーサン・ホークが出演してたのが強烈に印象に残っておりそのリメイクという事で鑑賞。

話のテーマ自体は両作共に極限状態における人間の生命力、倫理観や宗教観が試されるかなりシリアスなものとなってます、本作で特徴的なのはリアリティ重視な点、当時と今の技術的な問題もあるでしょうが例えばライティング1つを取っても機内の様子がより自然光に近く(生きてこそは照明が遭難した機内と言う点では明る過ぎ)雪山で遭難したら実際こんな日焼けや風体になるだろうとメイクや衣装も再現性が高く、演技や劇伴も抑え気味でまるでその場にいるかのような臨場感のある重厚なドキュメンタリーを見ている感じでした。

対するオリジナルは本作と比べれば演出、脚色も多分に含まれますが、その分だけ感情移入しやすいエモーショナルなハリウッド映画といった趣ですね。

作品全体のトーンの重さや宗教色の強弱、リアリティの有無で好みは別れそうですけど、個人的にはテンポが良い脚本で時間も本作より短いオリジナルが好きですね。

しかし、両作に共通してまさに事実は小説よりも奇なりを地で行く話自体の衝撃度だけでぐいぐい引き込まれて行くドラマ性を持っているのは変わらないと思いますし、非常事態という点で昨今のコロナ禍や戦争、震災などが想起されその時に大切なのは人と人との絆なのだと改めて思い知らされる感動作です、実話系が好きな方は是非。
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