アーモンドフィッシュ

熱のあとにのアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

熱のあとに(2023年製作の映画)
3.0
私の一番のお気に入りの映画館、京都の出町座で鑑賞しました。

今作は2019年のホスト殺人未遂事件を基にしているんですって。事件の時、ある友人が加害者の女性に同情していて、私にはその気持ちが全く理解できなかったんですが、この映画を見て少しは感じるものがあるかなと思いました。ただし、ほとんどのストーリーは創作だから、リアルとはちょっと違うかもしれません。カメラワークは、長回しのノーカットが多用されていて、その場にいるかのような臨場感がすごいんです。でもね、重要なシーン、例えば刺されるところや恋愛のシーンはほとんどクローズアップされず、どうでもいいようなシーンがしっかりと映されています。逆光のシーンが結構長くて、ちょっと目が疲れちゃいました(笑)なんだか、そこにも何か意味があるのかなって、ふと考えちゃいます。

日本映画でよくある、突然「そんなことじゃねーーーんだよーー!!!!」って大声で怒鳴り出すシーンも多く、正直ちょっと苦手なんですよね。だから、邦画はちょっと敬遠しがちなんです。でもこの映画は、もし実際に事件に関わった人が見たら、どんな感想を持つのか、そんなことを考えさせられる面白い点があります。加害者も被害者もまだこの世にいるわけですから。

今作は盲目的で破壊的な愛をテーマにしていますが、主人公の沙苗がとるちょっと常識はずれの行動や、愛とは何かについてずーっと続くやり取りには正直疲れてしまいます。でもなんだかんだで、愛ゆえに自分を見失っちゃうような破滅的な行動に、少しだけど共感する部分もあったかもしれない。友人が事件の加害者に同情的だった気持ち、1%くらいはわかった気がします

総じて、「熱のあとに」は、見ていて疲れる映画だなと感じました。あと、邦画の苦手な部分が目立ったのが少し残念でした。別に大声で怒鳴る必要がないと思うんですけどね…