アーモンドフィッシュ

ゴジラ-1.0のアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.5
私にとって初めてのゴジラ映画です。怪獣映画にあまり興味がない私ですが、今回のレビューはそんな視点からお届けしますので、どうぞお許しを。

どんなにサブカルに興味がないアメリカ人でも、クロサワとゴジラは知っています。それくらいゴジラシリーズは有名ですよね。そして、日本が世界に誇るコンテンツであるゴジラが今年のアカデミー視覚効果賞を受賞した本作は、本当に意義深い作品です。ハリウッドの巨額な制作費に対し、比較的低予算で制作された日本映画が受賞するなんて、まるで日本人選手がMLBで本塁打王になるような快挙じゃないですか。最大級の賛辞を送りたいです!

物語は、戦後の日本に突如出現した巨大怪獣ゴジラによる恐怖と破壊を描いています。ゴジラは米軍の核実験の放射能によって誕生した怪獣で、元特攻隊員の敷島が立ち向かうという展開です。映画の随所には、戦前の日本を皮肉るセリフが散りばめられており、「情報統制はこの国のお家芸だ」や「この国は命を粗末にしすぎてきた」といった台詞が響きます。敷島が再び特攻を選ぶ姿には心が痛くなりました。これは特攻を肯定しているのではないか?たとえ家族のためとはいえ、Kamikaze Spiritsに対する賛辞が送られたため、アメリカや世界で大絶賛されてアカデミー賞を受賞したとは考えたくないからです。

そして敷島はどうなったか?…その結果はここでは伏せておきます。

『ゴジラ-1.0』の視覚効果は驚くべきもので、従来の手法と最新技術を巧みに融合させ、リアリティと迫力を両立させた映像は観る者に強烈なインパクトを与えます。特に、水や火の表現は極めて精緻で、細部に至るまでのこだわりが感じられます。この技術力の結集こそが、本作をアカデミー視覚効果賞に導いたのであり、日本映画界の新たな可能性を示したと言えます。

本作は、核兵器を開発したオッペンハイマーを描いた作品とも受賞を共有しています。この対比は興味深く、核兵器が生み出した怪獣とそれに立ち向かう人間の姿が重なり合うことで、まさにアンサームービーとしての役割を果たしています。役者たちの演技も素晴らしく、クライマックスでは深い感動を覚えました。

改めて、今作がアカデミー視覚効果賞を受賞したことに対して心からの賛辞を送りたいです。この栄誉は、視覚効果の分野で日本映画が世界に認められた証であり、その技術力と創造力に拍手を送りたいです。

日本映画はハリウッド映画と比べると劣る…そんな時代はもう終わりました。今作はそれを証明してくれたと思います。

ただし、今作が「映画製作費が少なくても世界で戦える」というモデルになってほしくはありません。日本映画はもっと予算が必要だと切に思います。限られた予算での成功は称賛に値しますが、今後も高品質な作品を生み出すためには、適切な資金投入が不可欠なのです。