sayuriasama

007/ リビング・デイライツ 4Kレストアのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

4.4
映画館のスクリーンで観てこそ!後半のアクションは山場しかない!21世紀のスパイ物への源流も見受けられる、新しくて正統派なダルトンボンド1本目

最初は観る予定にはなかったのですが、第1期の作品を観て「スクリーンで観るのと、家のテレビで全く印象違うよな」と改めて感じたので、実はあまり印象に残ってない、かつそこまで好きではないダルトンボンド作品に挑戦。すると、目から鱗が落ちるほどの驚きでした。めちゃくちゃ面白くてかっこいい!

過去にDVDで観たとき「ダルトンボンドはスパイのお手本のような人だが面白味にかける」と評価をビミョーにしてましたが、すいません、取り消します。今回スクリーンで観たことで「ダルトンボンドこそ、命預けてもいいスパイなのかも」と手のひら返しをしてしまいました。

本作は、悪役の設定がソ連の内部分裂とアフガニスタンでの混乱をベースにしているので、過去の作品に比べてパンチにかけている上、ラストはこれでもか!と壮大なるアクション(空でのアクションを含む)せいか、メリハリに乏しく、家でもう一回見直してみるとやはり間延びした感じに思いました。

が、映画館という集中できる環境においては、この間延びしたアクションの連続が、途切れないクライマックス状態になっていて手に汗握る展開で突っ走れるのか満足度が高いです。主な舞台としてはブラチスラバ、ウィーンといった東欧の街並みから、タンジールといったアラブ地域まで盛りだくさん。CIAのフェリックス・ライターもちゃっかり登場していたし、ストーリー展開も結構詰まっていて、ゆるい娯楽作品というよりは、火薬の多めなスパイスリラーとしても作り込みが良い作品でした。

本作での一番の見どころはボンドガール・カーラの健気で頑張り屋さんなところがほんとに可愛くて好感大。そこに誠実さと気の多さのバランスが絶妙なダルトンボンドの魅力炸裂で久々にうっとりという言葉を思い出しました。『第三の男』でもおなじみのウィーンの観覧車を含め、絵に描いたように理想的な遊園地デートが見られるとは思いませんでした…w

まあ、ムーアボンドのような軽さやコネリーボントほどワイルドさもないのですが、全体的なバランスがよく、さらにスパイとしての能力も高そうなダルトンボンド、2本と言わずもう少し見たかったなぁ〜(美しき獲物たちからボンドを継いでほしかったなぁと思ってみたりする)
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