ワンコ

光る鯨のワンコのレビュー・感想・評価

光る鯨(2023年製作の映画)
4.0
【思い出したこと】

「若い時に病気で亡くなった親友が、今でも時々出てきて、叱咤激励してくれたり、一緒に笑ったりしてくれるんだよ」

オカルト話じゃなくて、僕の大学の恩師の言葉だ。

恩師は「だから、君たちも卒業したら、僕の前から一旦いなくなってしまうわけだけれども、時々、僕が思い出せるように、ゼミ会に出たり、年賀状を出したりして欲しいんだよ」と付け加えた。

宇宙物理学の分野では、マルチ・バースはあり得る話として取り上げられるようになっていると思うけれども、ここに描かれたパラレル・ワールドは、僕の恩師が思い浮かべたような感じの世界じゃないかと思う。

この「光る鯨」のモチーフ。

低予算で大変だろうなと思いながらも、冬海(ふゆみ)のギターで、両親を前にイトが歌う場面には目頭が熱くなってしまった。

亡くした大切な人、
ほとんど会うこともなくなった人、
思い出の中に残るだけになってしまった人。

そんな人に想いを馳せる作品になっていると思う。

こんなSFも悪くない。
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