七色星団

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 4Kリマスターの七色星団のレビュー・感想・評価

4.1
泣くかなと思ってたけど、やっぱり泣いた。
そりゃ泣くよ笑

地球を背に白色彗星の真正面に立ち塞がり、波動砲発射から終盤にかけては怒涛の追い詰められ展開で息を呑むシーンの連続。
どれだけ犠牲を払っても、何度倒しても、ぬか喜びの連続で終わらない。
45年前、公開当時の映画館で「これが絶望というものか…」と認識した初めての映画(笑)
あの感じは映画館だと更に特別になるね。

本作は劇場で観る為に製作された映画なので、巨大建造物は巨大建造物らしく巨大で迫力満点だし、それと対比して描かれた単艦で対峙するヤマトの何と小さく寄る辺ないものかと、絶望感増し増しでね。

それと、ヤマト発進や波動砲発射シークエンスなどは結構な尺を使ってしっかり描くのも良き。

今回の4Kリマスターで一番驚いたこと。
公開当時の形に拘ったと細かな微調整を行った映像と、微細な音情報も含めたクリアな音響を映画館で観る。これはTVで見るものとは別物です。
それと劇場だから気付いたんだけど割と多くのシーンが航行音など環境音だけのシーンが多く、感情的な台詞や音楽で観客の感情を誘導しないんだよね。それが逆に効果的で没入感も凄かったなぁ。

作画や一部のストーリー展開が70年代製作という時代を感じる甘さはあるものの、シンプルに"行って、帰る"という大筋の分かりやすさと、白色彗星や都市帝国、超巨大戦艦などのケレン味が効きまくりで作品世界へ引き込まれる。また登場人物の関係性と配置、声優さんの仕事も含めて感情移入もし易いのも◎

本作の公開は第二次大戦が終わって30年余りの1978年。
公開当時はまだ戦争の記憶がまだまだ残っている時期でもあるからだろうけど、『さらば』は戦争や特攻による死を美しく描こうとしている、と多くの批判を受けた作品でもある。

僕自身は小学生だった為、そういう声があることも知らずに観ていたけど、『さらば』が戦争や自己犠牲を美化してるようには受け取らなかったし、何ならこんなに簡単に人が死ぬ武力による戦争という行為は怖いと感じてたくらいで。
作品の中で「生きろ」と語ってますし、「命ある限り戦え!」はその生命を使って特攻をしろと促した訳ではないですしね。
ただ、あそこまで追い詰められた人間が敵を打ち倒すために出来ることの選択肢は、もう他に無かった―
僕はそう解釈してます。

ヤマトというと古臭い印象を受ける人も多いでしょうが、現在僕らが生きてる現代の世界がどうもきな臭くなってる今、観るとまた違った見え方もあるのじゃないかなぁ。
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