七色星団

落下の解剖学の七色星団のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
自宅三階から転落死した夫サミュエルと最後に顔を合わせている妻サンドラ。被疑者として法廷に立ち無実を訴えるが―
ってところから物語はスタート。

法廷でサミュエルの死の前後、サンドラや息子ダニエルの行動を振り返り、時間軸を行ったり来たりしながら徐々に物語の核の部分が露わになっていく―というサスペンス要素と謎解きがメインと思って観始めたら、その想定と大きく違う展開の振り幅にグワングワンに揺さぶられた。
僕の感覚ではめちゃくちゃホラーでした。
サミュエルとサンドラのやり取りが収められたUSBメモリの音声が法廷で公開されたとこ。
存在だけは匂わしておいて中々公開されないなぁと思ったら…
怖っ、恐い、もう止めてー!って心がギュウッて痛くなって、もはや事件の真相への興味は無くなっちゃうくらい。

サンドラを弁護するヴァンサンの台詞に
「真実は問題ではなく、君がどう見えるかなんだ」
とあるように、被疑者の証言や様々な証人の証言、検察と弁護側の主張を通して、僕ら観客も傍聴席の一人として被疑者をどう見るのか?物事の是非・可否なんてのは聞く者の立ち位置で見え方が全然違うよねってとこ突いてくるんで、本作は観客自身の普段のスタンスを合わせ鏡で見せられる感じで、「参ったな…」って頭掻いちゃうのよ。
やっぱり怖っ

最後にしょーもない話をしますね。
サンドラと旧知の弁護士ヴァンサン役スワン・アルローが『あまちゃん』の前髪クネ男こと勝地涼に見え始めて、彼が出るたびに前髪をいじりだしてクネクネ身体をよじりだしたらどうしよう、などと頭を過ぎったのは内緒。

あ、そうだ。肝心の真相は―?
観客の判断に委ねる系だけど、賢いワンコ、スヌープのラストの行動で判断…かな?
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