七色星団

宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスターの七色星団のレビュー・感想・評価

3.8
真っ暗な画面にスローテンポで始まるヤマト主題歌からのタイトルドーン!その瞬間、40年以上前のことなのに一瞬で当時の様々な記憶が甦った。

それにしても4Kリマスターという謳い文句は伊達じゃない。
綺麗にし過ぎず、当時の雰囲気とか温かみは残した映像と、兎に角よく聴こえる音、台詞、効果音、音楽の修復が凄まじく、全く新しい体験をしたように感じた。
「何もかも皆懐かしい…」と同時に「何もかも皆新しい」のだ。

初めて見たのはヤマトフェスティバルというイベント上映だったか、『海のトリトン』『宇宙戦艦ヤマト』『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のトリプル上映の時だった。

それまで観てきたアニメ漫画というものと全く違い、当時としては緻密な映像と人物の心情描写、戦闘で遠慮なく失われる生命。当時、感じたものが何だったのかを今更言語化は出来ないけども、只々とんでもない物を観てるという感覚だけは覚えている。

本作はテレビ放送された26話分のボリュームを映画用に編集した総集編という位置づけなので、今観ると…というかテレビ版の再放送を観た後、確か小学生の時でさえ、急ぎ過ぎ&ブツ切り展開に
「第一作の劇場版は、ちょっとなぁ…」
と感じてはいて、円盤化された後も買ったは良いけどそれ程観てはないという状況が続いていた。
なので、じっくり観るのは10〜15年振り?かな。
それがですよ。まさかこんな風に生まれ変わるなんて。

改めて"新しい体験"として本作を観ると、ストーリー展開上で絶対に外せない台詞やシーンなど、"宇宙戦艦ヤマト"の根幹となる大事な部分だけは丁寧に繋ぎ、観客が置いてけぼりにならないよう工夫されてる事(まぁナレーションも多いしね😆)が感じ取れた。

戦争の傷痕がまだ人々の心に残っている時代に作られた作品だからだろうか。地球が遊星爆弾により破壊され尽くすシーンには昨今のアニメーションを遥かに凌駕する、生々しく恐ろしいものも感じたし、古代と雪が語る戦いとその後の虚しさの説得力たるや!です。これも映像と音声を"原初の形に戻す"為にひたすら磨き上げたスタッフさんの情熱の賜物やろうなぁ。

この作品が訴えるものに若い人がどれだけ反応するのかは分かんないけど、現在のヤマトファン、かつてファンだった人は確実に観に行って損はないと思います。

そして、この後は更に地獄となる『さらば宇宙戦艦ヤマト』へと続く訳だけど、それはまた公開されてから書きます
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