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悪は存在しないのyyyymmddのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

悪は存在しない。このタイトルであることによって立ち上がってくる意味。物語自体は驚くほどにシンプルだったが、「悪は存在しない」とはどういうことなのか?ということをこの作品は問いかけてくる。

わたしにとっては、「悪は存在しない」とは言い換えれば「誰もが悪になりうる」ということである。誰もがわかりやすい悪を見つけては批判し、自分の心を落ち着かせる。でも、その人が置かれた場所と状況、そこにいる他者との関係性に応じて誰もが悪になりうるかもしれない。もしくは、その悪がなぜ、どうやって、何の影響によって生まれ、どうすれば悪にならずに済んだのか、そこに想いを馳せることの方が重要かもしれない。

下津優太監督作品「みなに幸あれ」は、あらゆる豊かさは誰かの犠牲のもとに成り立つのだ、という主題が置かれた、奇しくも同じ2024年に上映された逆説的なタイトルを持つ日本映画だった。誰もが何かを犠牲にしなければ生きていけない世界の中で、わかりやすい悪など存在しないのだ、ということを「悪は存在しない」は示唆している。
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