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悪は存在しないのペインのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
渋谷Bunkamuraで満席での鑑賞💺🈵

まずいきなり"ゴダール!"なタイトルフォントで始まり、今度はタルコフスキーか?と思いきや、同じアンドレイでもアンドレイ・ズビャギンツェフの『裁かれるは善人のみ』『ラブレス』的な冷え冷えとした俯瞰ショット等を連ねていき、やがてヨルゴス・ランティモスやジョナサン・グレイザー(※奇しくも2人とも今年アカデミー賞を騒がせた)監督作品的な不穏なダークコメディ、アート神話と化していく。

たしかに『寝ても覚めても』での商業デビュー以降の濱口作品においては、最もシンプル且つソリッドな作りとは言える。

圧倒的人気・評価を得た『燃ゆる女の肖像』(※『ドライブ・マイ・カー』)の後に
こじんまりと傑作『秘密の森のその向こう』(※『悪は存在しない』)をさらっと撮り上げてしまうセリーヌ・シアマとも少し共鳴するような、一旦広げた風呂敷を小さく折り畳んでいく行程を見ているとでもいうか✍️

オチに関しては賛否あり(※私もたしかに少々弄ばれたなという気はした😂)、議論・考察がなされて然るべきだが、私的にはあっと驚きガツンと来るものがあったという事だけで"まぁ、いっか"という感じではある。

あと世間的には冒頭がかなり退屈で眠くなり、芸能事務所社員2人がグランピング(GLAMOROUSなキャンプ)場の企画を引っ提げて町に来てからの住民説明会の会話描写からが面白いという意見をちょくちょく見たのだけど、私はむしろ逆にあの明らかに日本の田舎を舞台としていながらも、日本離れしまくった美しい撮影のつるべ打ちによる導入部の日常ルーティン的な方に引き込まれた。会話シーンは正直いつもの濱口作品と比べると物足りないので、そちらの淡々としたルーティン描写を強調したようなテイストの作品も観てみたいと思ったりなどもした🤔

しかしそう思うと、つくづく2021年の『ドライブ・マイ・カー』は、世界中の批評家並びに映画関係者各位へのご挨拶🙇‍♂️みたいな作品で、『偶然と想像』は、世界中のお茶の間の皆様大いに笑って楽しんでいってください!な作品で、濱口監督にとって2021年は挨拶回りの年でもあったのかなと勝手ながら思う(笑)

今回の『悪は存在しない』は、
『ハッピーアワー』のキャストたちが出演していることからも、回帰的な"地元ノリ"の良い作品だとは思うけど、ただそれでも純度・完成度・エンタメ度・愛おしい度において究極的な『ハッピーアワー』を観た後では、物足りなくも感じてしまうという贅沢病、及び無い物ねだり状態に陥る😂

そう思うと濱口監督、
本当に底知れぬ恐ろしい監督だ…

P.S.
『ドライブ・マイ・カー』で
西島さんとS♂️Xしていた綺麗な女優さん霧島れいかさんとニアミス鑑賞だったことが発覚…(以前にも渋谷TSUTAYAでニアミス)
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