YOUME

市子のYOUMEのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

杉咲花と若葉竜也が幸せそうに生活をともにしているシーンで、私の全身には最高の多幸感が駆け巡った。こういう幸せな日々のことだけを2時間の映画にしてくれても全然いいですよ!!という気持ちであった。「なあ長谷川くん、うちは初めて人と一緒にいることがこんなに幸せなんやって思えたよ」。そんな市子の気持ちが、どうか長谷川くんに伝わっていてほしい。。

市子は他の人と何も変わらない、平凡な幸せを望んでいるだけなのに、それがこんなにも難しい。婚姻届を普通に書けることって当たり前じゃないんだなあ。
それでも、過去の罪をあんなにあっけらかんと放り出せてしまうところには、ちょっとサイコパスみを感じた。一緒に手を汚してくれた北くんのことを、よくああやって切り捨てられるなぁと。それが市子や市子母が「悪魔」と呼ばれてしまう所以なのだろうか。
『鬼滅の刃』で記憶を取り戻した時透無一郎が、「"確固たる自分"があれば両の足を力いっぱい踏ん張れる/自分が何者なのかわかれば迷いも戸惑いも焦燥も消え失せ/振り下ろされる刃から逃れられる鬼はいない」って言ってた(突然の鬼滅からの引用)。そういう意味で市子はずっと確固たる自分を持てない状態だったはずで、それって想像できないくらいしんどいことだよなぁ。それなのにあれだけ北くんに毅然とした態度を取れるのはめっちゃ強いなって思った。最後の行動も、生きる意欲の強さはんぱな〜!と思った。自分が生きていくためには手段を選ばない感じ。でも何事もゼロとイチの差が一番大きいので、すでに二度人を手に掛けた市子にとっては、もうあんまり変わらないことだったのかもしれない。

終わり方が「ヒィ〜これで終わりですか?まだ終わらないでください〜!」と思うような感じだったけど、その後のことを描いてしまうと市子の取った行動に対する善悪の議論が湧きすぎてしまいそうだから、ああやって曖昧にしておくくらいでよかったのかもなぁ〜
心中させた市子を、長谷川くんは果たして受け止めきれたのか。。

長谷川くんがいい男すぎて優勝です。若葉竜也にはこういう役をずっとやっていてほしいです。
とはいえ家族や過去の話を一切せずに3年間付き合い続け、プロポーズまで至るというのは私にはちょっと想像ができないな。私が人の深みに立ち入りたがってしまう人間なだけで、意外とそういうもんなのかな。

森永悠希、こういう役がとても似合うね〜!『青の帰り道』の彼だとすぐ分かったよ〜そして劇中で森永悠希演じる北くんの名前を忘れたオバちゃんが言ってた「目が大きくて、笑うとすごくその人らしい〜っていう顔をする子」という表現が的確すぎた。

杉咲花ちゃん、今回の髪型ストライクすぎました。好きです。

私はやっぱり邦画が大好きです。

24/020
YOUME

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