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市子のkratterのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

婚約を誓いあった恋人の市子がある日、突然失踪する。きっかけは山中での死体発見のニュースを見てから。

市子は自分の妹である障害児・月子を殺害して生き残った無戸籍児童。その後も、犯行に関わった父親を殺害。実の母親と離別して糊口を凌ぐ毎日を送る。

物語上で徐々に語られる市子の壮絶な人生が明るみになるにつれ、切なさが増し、我々に当たり前の日常を生きる前提である戸籍や権利、自分が自分である事を成立させている要素が実は儚い楼閣の上に立っていると思わせます。

映画で言うと、"さがす"、"ある男"、小説で言うと、宮部みゆきの傑作"火車"を思い出しました。

ラストのあのシーンは、市子が同級生と自殺志願者を殺害して新たな戸籍を取得して生き残ったと言う事でしょうか。エンドロールの長谷川とのただただ満ち足りていた日々の生活音が交る分、切なさが混して行きます。

冒頭の登場人物の整理がちょっと追い付かなくなるんだけど、余りミステリ的な謎解きと言うよりも、エモーション重視で観て良い映画なのかなと思いました。

虫のシーンが何故か記憶に残っています。有れば、"生命"のメタファーでしょうか。

どうでも良いけど、市子が歌う歌が「ごっつえぇ感じ」の"朝からヤスシ〜トーストヤスシ〜"を思い出して笑っちゃいました。

今年観た本数/目標(100/104[▲4,96.2%]/120[▲20,83.3%])
映画館で観た本数/目標(22/24[▲2,%91.7])
MW評論作(10/50[▲40/20.0%])
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