サッカーと映画観るのがすき

ナポレオンのサッカーと映画観るのがすきのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.5
おいおい、リドリー・スコット監督でホアキン・フェニックス主演の歴史超大作がずいぶん不人気なんすね。マイシアターでは早くも公開終了のようなので駆け込みで観てきました。IMAXの大スクリーンで観たかったけどすでに最小スクリーンに追いやられていてなんか悲しい。

で、どんなもんじゃろかと期待値高めで観たところ、なるほどこりゃ不人気にもなるかなと。
リドスコさんはBBC出身だしイギリス人気質強い=フランス嫌いなんすかね?フランスの英雄がどうにも気に食わないのか、ナポレオンをずいぶんと女々しくて傲慢な人物に描いているようで。真実の彼がどうだったのかは、なかなか知り得ないですけど、どうも恣意的な悪意を感じちゃいますし、ぶっちゃけ一般的にはこんなナポレオンが観たいわけじゃないと思うんですがね。少なくともオレはそうだけども。

個人的には、優れた軍略家であり、フランスや欧州における民主・法治国家としての礎を築いた人物でもあると思っていたので、もっとちゃんとその辺りを良くも悪くも描いてほしかった。
特に肝心要の稀代の軍略家であり指揮官としてのナポレオンの描き方があまりに雑だし、ところどころ史実捏造ともとれるような脚本づくりはいかがなものかと。

と、作品としての骨子・脚本については大いに疑問はありましたが、大規模な予算と時間をかけた、すさまじい人数のエキストラと大量のカメラで同時撮影したという戦闘シーンはこれはもう圧巻。とくに近代兵器のない古代〜中世や戦国時代の戦争をこれだけ生々しく描いた戦闘シーンはちょっとなかなかお目にかかったことがない迫力だった。
あと、衣装・美術、音楽もすんごくよかったと思うので、尚のことなんでこんな脚本にしちゃうかなぁ…が鑑賞後のモヤモヤでしたね。

エンドロールでナポレオンが率いた戦争による犠牲者数を示すってのは、ナポレオンを英雄視する向きに対してのアンチテーゼなんだろうなと理解しましたけど、欧州のいたるところで領土紛争が勃発していた時代に、ナポレオンというバケモノを退治した大英帝国万歳!みたいなカンジだすのは筋違いちゃうんかい?ねえリドスコさん?w