規模感が凄いのはわかるのですが、エンタメ寄りでもなく歴史スペクタクルとしては微妙。その割に人物描写はどこか淡白で「熱」を感じられない。しかしまあこの地味さが、虚飾に色付けされた英雄譚ではなく一人の「人間」ナポレオンの人生の歴史、と思えばわからなくもない、かな。どこまでが史実なのかは知りませんが。
そもそもナポレオンを語る上では、歴史系譜上の「フランス革命」を避けることは出来ず、このへんの前提知識がないと、誰がどういう理由で何と戦っているのか理解が難しい。王家を排除した革命の功罪、そしてロベスピエールによる独裁、ナポレオンの台頭。フランス史におけるこの複雑な歴史の転換点をどう描写するかということは、腕の見せ所なのでしょう。勿論ナポレオンが主題の映画なので、省くところは省くしかないのですが、それにしても説明不足な感は否めず。
いずれにせよ「英雄ナポレオン」でも「戦略家ナポレオン」でもなく、恋人ジョセフィーヌに翻弄される一人の男としてのナポレオン、というイメージが強い映画でした。
