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アントニオ猪木をさがしてのドラのレビュー・感想・評価

アントニオ猪木をさがして(2023年製作の映画)
5.0
まず私はアントニオ猪木のファンではないのです。だから正直この映画あんまり興味がなかったんですよね・・・。でもアントニオ猪木ファンのおじさん達が話題にしているのを見て、ちょっと興味を持ったので一足先に試写で観せてもらいました。

冒頭で紹介した通り、この映画はドキュメンタリーではあるけれども短編映画が差し込まれており、過去の映像や写真とともに、“アントニオ猪木の生き方とその時代”がとてもわかりやすく、そしてなんだか心に突き刺さる作り方をしているドキュメンタリー映画で、ファンでもないのに気がついたら泣いていて、観終わった後はなぜあんなに猪木ファンが熱狂していたのかがわかったような気がしました。

ファンでなくとも、昭和のあの時代に子ども時代を過ごし、世の中がプロレスブームで猪木の名言を耳にしたこともあり、プロレス好きでなくともキン肉マンやタイガーマスクは好きだった子ども時代を思い出すような短編映画でまず一気に“これ私たちの映画だ・・・”と自分ごとになりました。

就職氷河期を経て波乱万丈な若者時代を過ごし、今の若者たちよりも絶対に貧乏な時代を経験し(笑)、手取り13万5000円でよく生活してたなと思い返すぐらいつらい時期もあったりしたことを、この映画でアントニオ猪木全盛期のエピソードや時代背景を観ながら思い出すっていう、ドキュメンタリーなのにあの頃の自分も思い出してしまう、ものすごく入り込めてしまう作品でした。

すごく上からな言い方になってしまうんですけど、この人って本当に純粋な嘘がないまっすぐな人なんだろうなぁ・・・といい意味で“バカ”という言葉で表現できる人なんだろうなと強く感じました。この映画でニュースでも流れて知っているはずの事実はもちろん、知らなかったエピソードも混じって観ているうちに感動しちゃっている自分がいて、最後は号泣でした。

昭和の時代だからできたんだろうなぁと思われるとんでもない企画やったり、自分で団体つくって騙されちゃってお金持ち逃げされたり、借金背負っても一度も逃げずにただまっすぐに生きた人なんだろうなぁということを、今更ながらこの映画で知ったような気がします。

アントニオ猪木ファンはもちろん、私のようにプロレスにもアントニオ猪木にもそんなに興味ないんだけどな〜というような人、昭和の時代を知らない世代にもぜひ観てもらいたいドキュメンタリー映画です。いやー最後のタイトルの出し方にぞわっとしたんですよね。出演している俳優さんやプロレスラーの人たちの思いもビジバシ伝わって、いいもの観せてもらったー!と思える作品です。ぜひ映画館でどうぞ!!
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