プリシラ視点でのエルビスとの生活についての作品。
映画「エルビス」が最後悲劇的な描かれ方をしていたのに対して、プリシラから見たエルビスは薬や短気なところは所々イヤーな感じで描かれていたものの基本いい人として描かれていた。あくまでもプリシラ視点なので、カッコいいエルビスが基本なんだなとは思ったが、いわゆる「太ったエルビス」時代も痩せてたのはちょっと残念だった。今回のエルビス役の人は声質や口調がよく似ていたし、非常に良かったと思う。
やっぱり首をかしげざるを得ないのは、オリジナル楽曲がなぜか使われてなかったこと。監督としては、オリジナル楽曲を使うことで、どうしてもエルビスの映画になってしまうことを避けたかったのかもしれないが(インストでは１～2曲かかっていたかも)、やはり除隊後の映画出演ラッシュからカムバックスペシャル、ジャンプスーツでのツアー場面くらいはワンフレーズくらいは見せて欲しかった。
もうひとつ惜しかったのは、プリシラ役の女性俳優は本当に頑張っていたし、素晴らしい演技だったのですが、どうしても子供にしか見えなかったのが後半少し辛かった。プリシラにとってはエルビスの元を去った時点で関係が終わりなんだろうけど、この後の悲劇的な結末を知った時の彼女の心境などが知りたかったという気持ちはある。
この映画も殆んど悪い奴が出てこない、胡散臭そうな取り巻きも出てくるが、基本的に彼らがどんな人間かは描かれず、基本出てくる人の描き方はいい人なので、メリハリがないように感じた。
深読みすると、そういう薄っぺらな人間達の中で、二人の関係がより引き立つようにあえて描かなかったのだと思う。
プリシラプレスリーが制作協力に名を連ねているので、監督も気を使ったのかなあ、なんて思ってしまうほどストーリーも演出もほんとにソフィアコッポラ監督作なのかと思ってしまう程普通でした。
