たくみ

変な家のたくみのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.6
【変な映画】
原作既読です。
原作読んでるか否かで評価の変わる作品だと思います。
映像化としてはかなり上出来だと思います。

一応ミステリーなので、ネタバレ見たくない方は以下ネタバレ全開ですのでお気をつけください。

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所々改変はありましたが、ラストの展開以外は基本原作に忠実でした。

ただ、映像で具現化する事で怖さは減った印象です。
これ言い出したら元も子もないですが、本やYoutubeでは人物や土地は具現化されていません。
口伝で聞いているからこそ輪郭がはっきりしない、みんなのイメージがまとまりきらない恐怖こそが楽しかったのだと気付きました。
活字から想像する片淵家が読者によって違うからこそ、得体の知れない何かが読者/視聴者に植え付けられ、とんでもないムーブメントになっていたのだと思います。
それが本作では、当たり前ですけど実際の家や人物が提示されます。
その事で「思ってたよりコスプレよりだな」とか、「意外と住宅街だな」とか、「この間取りに気付かないわけないか」とかノイズが増えた感じがしました。

上記の理由で減ってしまった恐怖感を補完するためのホラー展開だったのだと思います。
原作はどちらかと言うとヒトコワ系ですが、本作はポスターのルックから想像出来ないくらいホラーに寄った作品です。
ジャンプスケアも多く、とあるシーンに至っては劇場中で叫び声が響いてました。
近年のJホラーの中でもそこそこ怖い方でした。ホラーに振るという裏切りは良いと感じました。

原作と違う点としては、本家に赴く点も挙げられます。
原作では話をするだけだった(はず)なので、この改変も映画的で良かったです。
これにより華麗に村ホラーにシフトチェンジしました。
原作を読んでいるとこの展開は納得なのですが、未読の方は展開が急すぎて消化不良となり評価が低いのかもしれません。

個人的に村ホラーへのシフトチェンジは最高だったのですが、村民が仮面付けて儀式参加したりするのはやり過ぎかなと感じました。
あそこまでやられるとフィクション味が強くなりすぎて冷めます。
お婆がチェーンソーで襲ってくるシーンは「バイオ4かよ」と心の中で反射的にツッコんでました。

役者陣は全員お見事でした。
間宮祥太朗さんは良い意味で存在感が薄かったし、佐藤二朗も真面目モードでした。
(若干おふざけモード洩れてたけど)
でも今作は何といっても川栄李奈さんだと思います。
もう名女優やん。テストの回答で間違い指摘されて「嘘だろうがっ」て言ってた彼女どこよ。
圧倒的幸の薄さ。そこから想像できない振り切ったホラー顔。
ほぼ化粧なしで全編出るのも、作品の為なら我を捨ててる感じがして良かったです。

後半の描き方次第ではかなり評価高くなりそうだったので惜しいと感じました。
ただ、原作読んでいる自分としてはそれなりに満足でした。

【その他メモ・独り言】
・ラストの展開は嫌いです。
・窓のない家は建築基準法でアウトになる可能性高いので、本作を観て憧れて建築する際は気を付けましょう。
・前日に終わった人というYoutuberの人の雨穴さんのモノマネ見たの失敗やった。
 チラついて集中できんかった。(動画は面白かったです)
・『変な家』より『変な絵』の方がストーリー面白いので興味ある方は是非。
たくみ

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