染夫木智也

キラーコンドーム ディレクターズカット完全版の染夫木智也のレビュー・感想・評価

3.0
タイトルからあふれるB級感、数十年ぶりに帰ってきたパイプカット版
B級映画にして、B級映画にならず。


原作はドイツの同名コミックで、世界で18か国で翻訳されるほどの大人気コミック。
本作は1996年にドイツで制作され、1999年に日本にて公開されたホラーコメディ映画、24年たった今ディレクターズカット版として帰った。

監督はスイス生まれ、ベルリン育ち、マルティン・ヴァルツ。
クリーチャーデザインは、あの1979年に公開されたリドリースコット監督のヒット作「エイリアン」のデザインを担当していたH.R.ギーガー。
ちなみに、その年のアカデミー賞で特殊効果部門を受賞されるほどの評価を受けたんやけど、エイリアン3,4でオリジナルエイリアンデザインとしてクレジットに乗らず、制作側から完全に無視されたので20世紀Foxに怒りを文書を送っていたらしい。

本作の物語は、何が起きても不思議では無い街「NY」のラブホテルで男性の性器を食いちぎられる事件が発生。そこで、あるゲイの刑事が男性の性器を食べるコンドームの調査に乗り込む話。

タイトルからは想像できない内容、
実はエロくなく、怖くなく、ばかばかしいけど考えさせられる謎映画。

まずは見た人であれば、全員が違和感に感じたと思う舞台について。
映画の舞台はアメリカのNY、にもかかわらず全てのセリフが英語ではなくドイツ語。おそらく原作ドイツで映画製作もドイツやカラと思うけど。。。

そしてストーリーについて、刑事が事件を追っていくんやけど、途中で若い男性と恋して、いちゃつくのも含めて場面が基本警察署とラブホテルを行ったり来たりと繰り返すシーンが多く、テンポが悪く中盤眠くなる。

とはいえ、やはり本作の一番の見せ場。
コンドームがバカバカしくて良かった。
鳴き声を発しながらちょこちょこ動き、牙をむいて噛みつく。
特に食いちぎる前と後の形状の違いがすごい。
食い違った後とかパンパンに入ってるからね。

少しネタバレになるけど、キラーコンドームをつくった理由が明かされるんやけど、ここの内容が深い。
黒幕は宗教崇拝者で「子孫が残すことこそが正義」と意図で避妊具や同性同士の性行為は悪と思っていたが、それに対する主人公の想いがよかった。実はLGBTQがテーマになっていた。
これが1996年に製作されていたなんて、時代先取りしすぎよ。

なめてましたわ。