回想シーンでご飯3杯いける

ミックスド・バイ・エリー 俺たちの音楽帝国の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.7
'80年代後半にレコードの音源をDJミックス形式でカセットテープに録音して荒稼ぎした男とその兄弟の、実話を基にした作品。

実は僕も、この映画のすぐ後の時代辺りに、DJとして、レコード店員として、同じような事をしていたので、このビジネスが世界規模である事は知っている。イタリアは音楽の流行がヨーロッパで最も雑食的なので、元々コンピレーション・アルバムが大量にリリースされていた状況もあって、本作で描かれているように、DJによる選曲を収録したテープが、社会問題になるレベルで評判になったのだろう。

冒頭は主人公の子供時代で、音楽も当時に合わせてジャクソン5。以降も、彼の成長に合わせて、挿入される曲が変わっていく。'80年代と言っても舞台がヨーロッパなので、日本でヒットしてた当時の洋楽とは微妙に違って、「シング・ストリート」の選曲に近い。

有名ミュージシャンではなく、オタクな青年が得意の音楽で夢をかなえていく話になっているのが良い。音楽は一部の有名ミュージシャンの力だけで広まるのではなく、テレビやラジオ、そして本作のように、時には法律的にグレーな物、あるいは違法な物も含めながら広まっていくものなのだと思う(法との関係は後から考える、あるいは法整備を求めるというやり方もある)。

タイトルが原題通りなのも頑張ってて嬉しい。日本の音楽文化とは少し違う、海外の市民文化を知る事が出来る、正にNetflixオリジナルならではの作品だ。