ゆんぶりっく

哀れなるものたちのゆんぶりっくのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
前情報を入れない状態で見たので初めのシークエンスから「イレイザーヘッド」的な展開なのかと思いきや全然違い、観ていくうちにエマ・ストーンの体当たり演技に惹きつけられ、純粋そのものな彼女が次に何を体験し何を会得していくのかが興味深く凄く楽しめた。
美術関連も美しい!
あと私も熱烈ジャンプしたい!!

白黒画面からの、犬鶏やら馬の頭の付いた車やらカオスな絵に面を食らうものの、家の外に出て以降の絵本のような華やかな背景も良いし、エマ・ストーンの衣装1着1着が魅力的。

初めは幼児的な彼女が肉体的な悦び、そして知的な喜びや哀しみを知る過程が観ていて実に楽しかったですね。
その過程で肉体的にも知性でも男性に優位(または主体的)に立ち振る舞う展開は小気味良い爽快さ。
自身の体を売ることに関しても、魂までは堕ちていないカラッとしたエマ・ストーンの演技などフェミニスト映画と言われている所以はこの辺か。
その一方で男側も、倫理的にまたは男としてクズばかりなのに、どこか憎めないようなバランス感を保っている脚本や撮り方、俳優たちの演技も見事!

そしてラスト。
あ、これはもしかして…と思った展開の斜め上をいくマッドサイエンティストエンドには心の中で拍手喝采!!!
(まぁあれを旅で様々な体験を得て、時には貧困に涙していた主人公の選択なのか?と言う疑問はあれども…笑)
もはや「新解釈フランケンシュタインの怪物」と言っても過言では無い映画でした!
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