なつこ

哀れなるものたちのなつこのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
とても美しく魅惑的な「陰」の空気が広がっているのに、どこかいつも真っ直ぐな光が差しているような、不思議な時間だった。
見終わってから、それは真っ直ぐに成長し、生きている、ベラそのものなのだと分かった。

ともすれば悪趣味と言われそうな数々の事柄を、物語の説得力として存在させるこの独創的な世界観。
これが構築される脳内を見てみたい(移植は遠慮します笑)
発想はできたとしても、ここまでの物語に昇華させることは容易ではない。

美術やライティング、色遣い、全てがホントに美しくて、画集が欲しい、もしくはUSJとかにこのまま展示して見学ツアーやって欲しい笑

部屋も壁紙ではなく、刺繍って!!なんて素敵なの!拘りすぎともいえる、こうしたひとつひとつが折り重なって、この美しい世界が出来ているのかと思うと脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=Ku0JDAEGGBs

それとは対照的に、内容はとてもシンプル。原作は未読ですが、おそらく色んなものを削ぎ落とすことで魅力が増した作品なのではないかと感じました。

ラストの美しく幸せそうな風景。
でもそこには色んな物が混在している。

人の人格や価値観は生まれ持ったものではなく、育つ中で形成されていくのだと、ベラが教えてくれたような、そんなラストだった。

マーク・ラファロとウィレム・デフォーが、もうこの世界観にぴったりすぎる✨
そしてエマ・ストーン!
今作にエマ・ストーンはいなかった。ベラはベラでしかなかった。

そして、ヨルゴス・ランディモス監督作品が、初めて自分の中でカチッとハマりました!笑
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