眠る猫

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の眠る猫のレビュー・感想・評価

4.0
SONGS で福山雅治が「小説の映画化で本来なら曲は要らないはずなのに、なぜ曲が必要なのか?必要とされる主題歌は何か?原作には書ききれてない部分を抽出すること」と話していて、「想望」という曲は曲だけ聞いても理解できないのではないか、映画を見て初めて理解できるのではないかと思い映画館へ向かった。

こちらも戦争を背景とする窓ぎわのトットちゃんと同じく公開日は12月8日、真珠湾攻撃の日、太平洋戦争開戦へ向かった日と同じなのは偶然か?

現代で何事にも反抗的な女子高生が1945年6月に突如としてタイムスリップし、そこで特攻兵と出会い戦時下でいろんなことを感じ、また現代に戻って来るという話。
以前の鶴田真由さんの映画「恋する彼女、西へ。」の逆バージョンといったところ。

お国のため、家族を守るために自分の命を差し出す若者、兵隊さんが何より大事という国民、そんな時代。そんな時代があったことをこうして映画で伝えるのはいいことだと思う。
特攻の映画は今までもいくつかあるけど、その時代時代でその時の若い人が見やすい映画になっていればいいと思う。
出演している俳優さん目当てなのか学生さんが多かった。彼らはこの映画を見て何を感じただろうか。
今生きてる者にはわかる。特攻なんて作戦がいかにバカバカしいか、若い命をかけてすることではなかったことが。それでも、誰にも止められない、そうせざるを得なかった時代の恐ろしさ。
彼らが飛び立つ時は号泣してしまう。
手紙のくだりは、昔訪れた知覧の資料館のことを思い出し、号泣してしまった。映画での内容というよりも、資料館で読んだ手紙を思い出して泣いたという方が正しいかもしれない。


ただ、あれだけの空襲で焼けたのはどこだったのか?鶴さんの店の周りは綺麗じゃん。アレ?となるのがちょっと残念。

若い俳優さんもいいけど、お母さん役の中嶋朋子さんが良かった。
そして松坂慶子さん。特攻兵達のことを見守るお母さん的な存在が良い。(特攻の映画にはこういう人が重要)

ラストカットは彰があの日最期に見た景色なのかもしれない。

最後に流れる福山雅治の歌が心に沁みる。
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