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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のOMCのレビュー・感想・評価

4.0
1858年、教皇国家に帰属するボローニャのユダヤ人街から1人の少年が誘拐される話。
当時のローマ教皇はピウス9世。彼は32年という長い在位期間において、当初は革新的な政策を打ち出したが、1848年の革命を機に、現状維持に固執し、近代世界を否定するような保守的な人物になったという。(パンフより)
エドガルドの誘拐と返還の拒否は、非人道的な振る舞いであると世界中で論争が紛糾する。その社会情勢が窺い知れるのが興味深いが、もう一つ観客の興味を引くのがエドガルドの改宗。
幼い子供が生きていくために自衛的にとった行動。いわゆるストックホルム症候群。揺れ動く心中を繊細に表現した主役のエネア・サラ君は、映画初出演とのことですが、素晴らしい演技でした。
日本でも古くはオウム真理教事件、最近では統一教会の二世信者問題など、洗脳による被害が表沙汰になることがある。現代のように情報の入手が容易ではなかった当時は、信仰が心の拠り所であり、生活の大部分を占めていたに違いない。そう思うと、この事件もかなりのリアリティを持って想像することができる。
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