Layla

PERFECT DAYSのLaylaのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

いつも微笑みを絶やさず、自然や古い物、他者を大事にする清貧で規則正しい日々…こんな徳の高い生活、本当の意味での社会的弱者や貧困層が送れるわけがないのでは。後半からは割とその背景も見えてくるが、序盤から平山はたぶんとんでもなく恵まれていて、お金に困っているわけでもなく、下町でのミニマリスト暮らしを道楽でやっている元金持ちにしか見えなかった。あと自転車とはいえ平山がほぼ毎日飲酒運転DAYSだったのが気になってしまったのは私だけだろうか…。

そもそもは都内の公衆トイレを著名な建築家やクリエイターがデザインするというプロジェクト、THE TOKYO TOILETの PRの一環として作られた映画だという事前知識を入れた上で鑑賞したので、こんな清掃員がいたらいいなという理想と、日本のトイレは、日本のお仕事はすばらしいですよという海外へのアピールが見え見えですこし鼻白んでしまったのも事実だが、映画自体は、作品としては嫌いになれないというか好きな部類だし面白いなと思った。

さすがは役所広司、淡々としている演技の中にも彼の人生が見え隠れしたし、何も変わらないように見えても毎日は少しずつ変化している…という日常の描き方はアダム・ドライバー演じるタクシードライバーの1週間を描いたジム・ジャームッシュの「パターソン」とも少し似ていて、見知った東京の街が描かれる心地よさもあった。

最初は仙人というか妖精というか、こんな人いるかいと思っていた平山が少しずつ、本当に気づかないくらいのグラデーションで変化を見せていって、ラストにはちょっとしたドラマがあり、まんまと惹きつけられてしまった。なぜかちょっと悔しいが、とてもよくできた映画だと思う。
Layla

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