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キリエのうたのhirobeyのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
3.9
岩井俊二原作・監督作品。
と言いつつ、あまり岩井監督の作品を観ていないことに気づく。なので監督らしいという部分は不明。

3時間作品なので迷ってはいたが、たまたま時間が空いたため、上映最終日に予定外で鑑賞。ちなみに、同時期に上映の「キラーズ・オブザ・フラワームーン」も3時間作品で迷っていたら、上映が終わってしまった。観たかった、残念😢つくづく、タイミングだなぁと思った次第。

東日本大震災により人生の歯車が変わってしまった人たち。それぞれにトラウマを抱えながら生きる若者同士の繋がりを丁寧に描いた。

主演はアイナ・ジ・エンド。6人組ガールズグループBiSHの元メンバーとのこと。本作では、ハスキーボイスで切々と歌い上げるKYRIE/路花ルカと姉キリエの二役を好演。
歌の実力は認められながらも、路上ライブでのセッションを楽しむルカ。夢を追いながら旅をする不安定な生活の中にも、マネージャー・イッコへの厚い信頼が見える。

朝ドラ・カムカムでの好演も記憶に新しいSixTONESの松村北斗。自然な台詞回しが良かった。
フィアンセを津波で失い、進学もままならなかった過去を持つ夏彦。妹ルカを観て涙するシーンが印象的。今更なのかもしれないが、兄役の江口洋介とは本当の兄弟?或いは親子?の様によく似ていると思った😆

そして、なんと言っても広瀬すず。衝撃の役柄とラストシーン。「ちはやふる」「チアダン」などの元気で明るいお姉さん役ばかりではない。「流浪の月」もそうだが、影のある役にチャレンジしているようで、女優としての幅も広がってきた。
夏彦を通じて学生時代にルカと知り合った真緒里は、数年後、偶然東京でルカと再会しマネージャーを買って出る。逸子イッコと名乗り、派手な格好で定職を持たないこの生活には闇があった。

黒木華の安定感。個人的に本作での1番の推しは彼女。ルカを夏彦へ繋ぐ優しい教師の役で、関わりとしてはワンポイントながら、重要な役柄であり、本作での雰囲気はとても良かった。やっぱりいい女優さんだと再認識。
石巻から大阪へやってきたルカを保護する風美。身元不明だったルカとフィアンセだったルカの姉キリエを探す夏彦を見つけ出し引き合わせる。しかし、未成年者保護の制度下では、他人である風美も夏彦も無力だった。

良くも悪くもアイナ・ジ・エンドの存在感が大きい本作。全く彼女のことを知らなかった。その独特な声と話し方に戸惑ったが、終盤の海岸でのイッコとのシーンは悪く無かった。タイトル通り、彼女の歌が作品全体を包んでいた。

PS:そう言えば、樋口さんと粗品が出ていてビックリ!
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