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ネクスト・ゴール・ウィンズのsatoshiのレビュー・感想・評価

3.3
 タイカ・ワイティティは『ジョジョ・ラビット』が大変良かったので少しは期待して見に行ったのだけど、これがまた何とも言えない微妙な映画だったものだから困る。

 本作を見てまず思ったことは、タイカ・ワイティティはサッカーに微塵も興味を持ってないんだなということ。平凡なスポ根もの&異文化交流ものの筋書きをなぞっただけの内容だし、いちばんのカタルシスがある箇所はダイジェストの回想で済ませる構成に脱力した。

 では、本作は何かと言えば、「自分が考えている以外の生き方がある」という話。主人公は落ち目であり、奥さんとも別居中。ここで功績を挙げれば人生を修正できる…という幻想に囚われている。しかし、最終的に元奥さんとヨリを戻すわけでもない(ここちょっと『パト2』ラストの後藤隊長を思い出した)。しかし、それを受け入れることがスタートであり、人生には他の幸せもあるんだよという内容である。つまり結局、本作は心に傷を負ったマイケル・ファスベンダーがサモアの人々に触れて傷を癒し、別の人生を見つける映画でしかなかったのである。

 これは中々白人中心的な思想があるなと思った。要はサモアの人々の触れ合いが彼にとってセラピーになったわけで、彼を中心に物事が描かれてしまっている。後、所々、サモアの風習をギャグっぽく描いてるのも気になった。こういうところにも感じる。
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