鎌谷ミキ

ミッシングの鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.9
【見つめる、閉じる、開く、そして光を】

[あらすじ]
主演の石原さとみが、身近にあふれる情報の波に翻弄される社会派ドラマ。娘の失踪事件をきっかけに、夫との喧嘩が絶えず、SNSでの誹謗中傷に晒された母親が徐々に平常心を失い、世間が望む姿を演じる様を描く。

[レビュー]
2週間ぶりにここを開きます。理由は関係ないのでネタバレに。

はぁ〜(なんともいえない余韻)初回上映を観たんで、ほとんど情報のない状態で観れましたが、吉田恵輔監督、どんどん違うステージに行かれてついていくのがやっと。かといって、らしさも忘れず(常連、三島ゆたかさん見つけたよ👍靴を見つけた漁師だったよね?)

これはなかなか難易度の高いレビュー。わかりやすい悪意と、わかりにくい善意があるというか。わかりやすい誹謗中傷…これの起き方を描いてる。
中村倫也くんがね、優しいのですよ。人として。テレビ局の人間なんですが、その優しさがわかりにくい…

↑のあらすじは本当にあらすじ。本質はそこじゃない、勿論。様々な人間の様々な感情がセリフなどでてきて、誰に当てはまるだろうな…って考えながら観るのもいいかも。これは俯瞰かな、母親だけど(一部を除き)割と冷静にこの物語と向き合えた。嗚咽してる人もいたけど…もしかしたら母親じゃなくても、この映画の本質は普遍的かもしれない。

マスコミの存在意義みたいな話もある。あまり書くとネタバレになりそうなんで。報道の現場って大変そう…これは2つ目のテーマだね。

でも。やっぱり一番感情移入したのは子どものことであることには変わりはないです。けど、それって慈しみみたいな感情で。慈愛もあるんだけど。知ってはいたけど脚本書いたの吉田監督…なんなんだ、この方は。リサーチ力なのか、身近にいるのか、はたまた…今回思ったけど、是枝裕和監督とタイプ似てるよ。

このようなストーリーは好きか?苦手な方です…でも、所々{美しい}{面白い視点}{この展開は逆に新鮮}など、映画的に評価できるシーンがワンシーンどころではなく。胸が苦しくなるけれど、またあの演技が見たい!画が見たい!といった印象です。確かに、人によって好きな?(印象的な?)シーンは違うかもしれない…石原さとみさんのシーンは何か神がかっていたといっても過言ではないはず、観た方は。

子どもがいる親御さんでも。いなくても子どもでしたよね?大丈夫、中村倫也視点があります。もっというと、夫:青木崇高視点、弟:森優作視点もオススメです。つまり、主要人物ほとんどです!あれ?女性視点は石原さとみさんにほぼ統一されてた…流石だね!『空白』とはまた違うけど派生作品ということらしい、です。怪作。傑作に限りなく近い、怪作。

[パンフ]追記予定
ミニシアターかのような装飾、まさかのシナリオ集付きボリューミーな1200円。
鎌谷ミキ

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