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夜明けのすべてのayaのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

作品の前半は藤沢さんの押し付けがましいく感じる優しさの発言、山添くんの他人に期待もしない気力ない態度にややモヤっとしていた。しかし、後半になるにつれて、2人それぞれの背景も見えてきて、「人は見かけによらない」といった山添くんの意味も共感できたし、2人の遠すぎず近すぎない距離感だからこそ、病気の名前を出して言い合える会話があったのがよかった。

個人的には、藤沢さんの貸したエコバッグに今度は(藤沢さんが磨いた自転車に乗って)山添くんが忘れ物と原稿を入れて家に届けに行った描写が印象的だった。心配だから顔見にきたよ、でもなく、一通のラインとインターンホン越しの声かけで帰路にむかう。気にかけつつも、そっとしておけるところがいいなと思った。そういう関わりが全体としてあって、あのシーンはその比喩のひとつなんじゃないかなと思う。その後、自転車に乗って帰る彼の後ろ姿を見ながら、晴れない気持ちに光が差した表情も良すぎた。

あとはなんといっても、プラネタリウムの終わりのナレーション。「しばしば、ずっと夜にいたいと思う」という心情は分かるな、と自分なりに思った。「明けない夜はない」という励ましの言葉はなんとなくあまり響かないけど、この映画での表現は深くてただふたりで夜の星を眺めるように静かでホッとできて、結果として今日の夜が明けるのを少し安心して待てるような気持ちにさせてくれる映画だった。

あとは、こう短く言い縮めてしまうのが心許ないけど、いろんな人がそれぞれの背景を持って生きていて人との関わりの中でケアされていることがあること。ひとつの関わりは人生という宇宙の中では一瞬の星の輝きかもしれないけど、夜の中で見えた孤独な一つの星すらも、誰かにとっての灯火になりうるのだなと感じた。

メモ
・自転車、坂道、降りてとなりで子どもを乗せた母親が自転車をこいでゆく比較の描写。その前も、高校生が早いスピードで2人とすれ違う描写があった。電車と比較して、自転車は自分のペースで進める乗り物。
・彼女さんには救われなくて、藤沢さんには救われた一面があったのはなぜだろう。
・セルフケア
・PMSとパニック障害って違うと思うんですけど、からの変化。
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