nana

夜明けのすべてのnanaのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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「女特有のヒス」で片づけられてきた女性のPMS。
「男なんだから頑張れ」で片づけられてきた男性のメンタルヘルス。
世の中には、自分が想像もつかないようなことで悩んでいる人がいる。
今目の前で笑っている人も、実はとてつもなく大きなものを抱えているかもしれない。

現在と過去を結ぶ「声」。
ほぼ姿が映らないのに、今作における斉藤陽一郎の存在感。
一昨年亡くなった青山真治リスペクトも感じます。

栗田科学の良いところは?という質問に「もう少し駅から近ければ…」と答えるおじさんの可笑しさ。
でも、この会社の良いところは言葉にしなくてももう十分観客に伝わっています。
世の中は闇の部分が多いけれど、でも決して完全な闇ではないはず。
栗田科学が完全なファンタジーかというと、きっとそうではないのです。

良い人しか出てこない、という見方はできるのかもしれませんが、その「良い人」がそれぞれに抱える喪失。
彼らが「良い人」になるまでに一体どれほどのことがあったのだろうと思わせます。

映画オリジナルの要素だというプラネタリウムが、より映画館でこの作品を観ることと重なりました。
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