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異人たちのnanaのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

原作『異人たちとの夏』は読みました。
タイトル通り、こちらは夏が舞台で、湿度の高い日本の夏の空気感が味わえる作品です。
この物語の心霊的な側面、お盆シーズンということもあり、やはり日本が舞台でこの話をやるなら夏でしょう。

一方、今作はクリスマスのシーンが出てくるなど冬の物語、舞台はイギリス・ロンドンです。
『異人たちとの夏』がどちらかと言えば両親との物語が大きく占めていたところ、イギリス映画版はロマンチックで時に恐ろしい恋愛もの要素が強くなっている印象。
中年の孤独、というテーマに加えクィアの孤独、両親へのカミングアウト、それと同時に、自分の理解者が現れたときの喜びも描かれます。

観終わってみれば、この物語に果たして生者はいたのか、ひょっとしてこれはすべて死者たちの物語だったのではないか、と思いを巡らせてしまいます。
ラストも、ハリーを送り出してあげたという解釈も、二人が一緒に星になれたという解釈もできます。
原作を読んだ時にも思ったけれど、わりと大きなアパートに住民が二人だけなんてことある?とか。

35mmフィルムで撮影されたアパートの窓から差し込む光、インテリア、衣装も美しくて印象的。
「異人」という言葉の意味をより考えたリメイク版でした。

序盤に火災報知器が鳴ってアパートの外に出なければいけないというシーンが出てきますが、自分がイギリスにいた時もしょっちゅう経験したので、もしかしてイギリスあるあるなのかと思ったり。
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