RIO

マグダレーナ・ヴィラガのRIOのレビュー・感想・評価

マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)
4.0
炎が上がる闇から なんか変な声が聞こえる
赤い文字がこれからの悲劇を予告

アイダは娼婦

十字架の沢山付いたピンク色の壁に続く部屋で私がここにいないことが嬉しいと言うアイダ

暗い暗い沈黙 水色に滲む沈黙が寒い
マリオネットのようなアイダは囚らわれている 黙っていたけど踠いてる 涙1つ溢さずに
長い屈辱はアイダにとって十分な理由として 罰を受けても果たそうとする決意に呼応するパッサカリアのパイプオルガンはもう少し欲しかった

見たくないものを延延と見せられて次々と続く攻めに段々と心と体は物になる
見ているこちらの心理状態を計ったようにまだ来るぞという予感
でもそこには見て私はここにいるとアイダが言ってた

監督は内面を見せて体験を与えてくる
アケルマンは内面を想像させる
ここにはいない と悲しげな顔に分かっているけど どうしてと声を掛けたくなる

逮捕されたアイダ そこから空気が変わりました
待ち続けていたアイダが座っていた椅子に一筋の光が差す
かつては愛し過ぎて死にかかった肉体は
愛したくて途方に暮れる海のような怒りが畝っている

それでも行かなきゃと希望を与える彼(誰か)でもアイダの心まではたどり着けない
孤児として育ったアイダの姉妹のクレア
クレアの心の先にアイダがいてその先に第3の妹がいるその線は私にも繋がってきた
マグダレーナを母として
マリアの血を頼りに紅海を渡る物語

愚かな民は私のことを知らない
血液と神経の2つの結び目 と彼女に言わせるもの

強制されたくないと言う無表情の奥ではヒヤシンスは薔薇にヒナギクは満開の薔薇
満開の薔薇はスミレにと花から花へと姿を変えて ついに鳥となって羽ばたく

エンディングは猫ちゃんの方が良いって言っているかのようだったニナ・メンケス強烈な直球を投げまくる
ちょうど今日目にした南方熊楠の *世界にまるで不用のものなし* という言葉は全く関係ない気がしない

血の表現など女性的な感性のパンチのあるメンタルを男性はどう捉えたんだろうといつもより女性が多かった映画館をあとにした🌛
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