いち麦

パスト ライブス/再会のいち麦のネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

物語にも2人の人物像にも全く魅力が感じられない、モヤモヤとイライラの募る鑑賞時間だった。心揺さぶるようなラブ・ストーリーを期待して臨んだだけに残念。

ヘソンは余りに幼少期の思いに引き摺られている。腑抜けで情けないほど。思うに女性が見せる涙には悔しさや怒りだけの表出である場合もあり、男性側がこれを勝手に自分に都合の良いように誤解し美化していることが結構ある。子供の頃に見たノラのあの涙にヘソンはコロッとイっちゃったのかも知れない。経験少ない子供なら仕方ないだろうが。でもそれから10年、20年経つ…いい加減、大人になれよ。
一方、将来をどんどん自分で切り拓いていく逞しいノラ。時々アンバランスなほどナルシズム的な感傷に耽る彼女は見ていてイライラが募った。少なくとも12年はヘソンのことを忘れていたよね?自分のことを12年も思い続けてくれていたヘソンにホロっとなっても決して自分の方から彼に会おうとはしない。

2人が離れ離れになっていたほぼ24年の月日は余りにも長い。一時の気持ちの昂りも一緒に過ごした時間の長さには敵わないのが恋愛の常。成熟した恋愛感情とは違っていた自分の気持ちにやっと気付いた2人か。だから当然の結末。ノラの夫が寛容で思いやりのある、いい人だったのと、夫の腕の中ではノラが正直に思い切り涙したのがせめてもの救いだった。
実は、家族で海外へ移住した監督が彼女自身の体験をもとに脚本を作ったと後で知ってかなりドン引きした。ノラが夫アーサーとヘソンと3人で食事に出掛ける場面、更には旦那そっちのけでヘソンと興じるノラ…監督の夢想(フィクション)なのだろうがなんて酷で嫌らしいんだろう。

イニョン = 인연 因縁、縁、ゆかり、絆
字幕は松浦美奈氏。大部分が韓国語の会話なので翻訳は英語のスクリプトからの二次翻訳と思われる。
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